まるぶろぐ

日々の出来事を思いのままに綴る まるい日記です

まるでマルのはなし。焼肉屋に行きたい

うちの住人に比較的小さめの人間がいるわけ。

丸いからマルって呼んでる。

んで、マルは小さいから小学校通ってんの。

もう3年目。

 

ドラえもん西遊記の映画を一緒に見てた。

 

ラスボスが姿を現した。

 

マルが呟いた。

牛角

 

あ、それなんか美味しそう。

 

たぶん「牛魔王」よな。

 

メガネに報告したら、

「金角銀角に引っ張られたんじゃない?」

さっすがー!メガネあったま良いー!

 

 

まるでマルのはなし。ありがとうの曲

 

 

 

うちの住人に比較的小さめの人間がいるわけ。

丸いからマルって呼んでる。

んで、マルは小さいから小学校通ってんの。

もう3年目。

 

 

ビールのCMでバックナンバーの曲が流れた。

 

あー、懐かしい曲だなぁ、

なんて思ってたらさ、

 

マルが、

「おれ、これ知ってる。」

 

 

「ありがとうの曲やんな」

 

そうだっけ?曲名が思い出せないけど、

たぶん、違うと思うんだけど。

 

マルが急に歌い出した。

 

 

雪が綺麗と笑うのは、

君がいい

でも寒いねって嬉しそうなのも、

転びそうになって掴んだ手のその先で「ありがとう」って楽しそうなのも、

 

全部、君がいい

 

 

 

ああ、ありがとうって、そこね

よく覚えてるなー

 

3年前、

好きだった子が好きだった曲。

よく車で聞いてたからさ、マルが覚えたみたいでさ。

マルとカラオケに行った時に歌ってくれた。

 

 

マル、ありがとう。

 

私は、よく人生で転びそうになる。

その度にマルが私の手を掴んでくれる。

私が今、笑っていられるのは、マルがいるから。

 

これからも転びそうになるだろう。

進む道を見失うこともあるだろう。

でも、大丈夫。

だって、マルがいるから。

 

あと何回、おはようが言えるだろう?

あと何回、おかえりが言えるだろう?

あと何回、

あと何回、

あと何回、ありがとうが言えるだろう?

 

私の人生の終わりが見えて、

マルの人生はキラキラ光って終わりが見えない。

 

 

変なポーズで床に寝てるのも、

今度行く旅行の話をするのも、

美味しそうに卵焼きを食べてくれるのも、

全部、マルがいい

 

 

 

まるでマルのはなし。だまれ小僧!お前にあの子の不幸が癒せるのか?分からぬ…。だが共に生きることはできる!

 

 

引き戸を修理した話、聞きたい?

 

部屋と部屋の間にある引き戸なんだけど、まあまあ使用頻度あるやつ。

天井部分にレールがついてて、滑車で扉を吊り下げて引き開けるタイプの扉なんだけどさ、わかるかな?

まぁ、カーテンみたいなもんよ。布の部分が扉。

 

それでね、上のレールについてる滑車みたいなのが割れちゃってさ。

 

扉の開け閉めは出来るんだけどさ、

これが、まー、重いのよ。

パワステついてない古い車のハンドル並に重い。

扉が急に昭和。

F=ma?何ニュートンなわけ?もう扉を開ける時に使う筋肉じゃないとこまで使ってる、力技。

無理やり押し通る感じ。

毎日アシタカ気分。おしとーーる!

別にさ、タタラ場と森を遮るような扉でもないわけ。

そんな大層な扉じゃないです。

家の中です、ここ、私の住んでる家の中です。

飯炊きしたり、洗濯したり、ゴロゴロしたり、ただただ毎日を生きている家の中です。

二本の尾を持つ白く大きな300歳の犬神とか、四本牙を持つ500歳の最長老の巨大な白い猪神とか居ないから。

 

薄々気づいてはいたけど、扉、壊れてるよね?

もう何年も前から重いよね?

重さに慣れちゃった、みたいな顔して生活してたけど、

あの頃は若かった私も、今は四十路のギリ手前で踏ん張ってるわけです。

もう、押し通る踏ん張りがきかないわけです。

 

だから、サクッと修理を頼んだ。

 

したらさー、まー!軽いの!

動かざること山の如しだった引き戸が、草原を駆け抜けるほどの速さ!

スッ!サッ!サッ!

うっかり今までと同じ力で開けちゃうと、

ビターーーン!

って扉が跳ね返ってくる。

あっぶねー、ニュートン調整しないと。

 

無事に修理が完了して、

でっかいイヌも、いにしえのイノシシも居ない部屋でウロウロ生活してた。

はー、快適。

 

でね、

修理を知らない住人達が引き戸を開けるごとに驚くわけ。

開いては軽い!開いては軽い!

軽いの応酬!

ちょっと、見てて笑えるよね。

住人が引き戸に近づくとさ、くるぞ、くるぞって、ニヤニヤしちゃう。

こうなってくると、もう「あ!軽い!」待ち。

 

私達なんかはさ、人間目線なわけよ。

開ける側の感想だから、「軽い!」

 

 

でもね、マルだけは違った。

 

うちの住人に比較的小さめの人間がいるわけ。

丸いからマルって呼んでる。

んで、マルは小さいから小学校通ってんの。

もう2年目。

 

スッポンポン風呂上がりのマルが、パジャマ取りに行こうとして引き戸に近づいて勢いよくオープン!

 

「あれ?速い!あれ?結構!速く!なっている!!」

 

「前、ここ、(引き戸と壁の隙間を指差しながら)ここらへん!前に出ていたのに無くなった!」

 

まさかの引き戸目線の感想。

 

滑車が壊れてからの俺の動きは遅かった。どんなに速く走ろうとしても動かない俺の滑車。こんなスピードじゃ期待に答えられない。もどかしい毎日を送っていた俺は、滑車を取り替えるという大手術のおかげで以前のスピードを取り戻すことができた。よし、これならいける、目指せ!インターハイ

 

だから「速い!」なわけよ。

 

マルの動きも速いよね。

扉の周りを素早くチェック。

いつもと違うことには食いつくよね。

 

ひと通り扉をチェックして満足したのか、

尻ぷりぷりしながら前を横切っていった。

 

おーい!パジャマ忘れてるぞー!

 

 

 

まるでマルのはなし。NCISネイビー将校の作成した謎の冊子が発見された!出動だ!ここは地獄の一丁目!

 

 

うちの住人に比較的小さめの人間がいるわけ。

丸いからマルって呼んでる。

んで、マルは小さいから小学校通ってんの。

もう2年目。

 

そんでね、

うちの住人に比較的大きめの人間がいるわけ。

メガネ掛けてるからメガネって呼んでる。

んで、メガネは大きいから職場に通ってんの。

もう2年目。

 

マルのランドセルの中で謎の冊子を発見した。

 

表紙のタイトルが「大きくなったマルかいぐん」

裏表紙のタイトルが「楽しかったよ2年生」

 

1ページもめくっていないのに、色々と考えないといけなことがある。

え?大きくなったってことはさ、もともといたの?

小さめの海軍。

 

鉛筆で書かれたタイトルの下の絵も気になる。

緑色に塗りつぶされたヘリはCH-47Jかな?

その上の橙色に塗りつぶされた戦車は74式かな?

だめだ、答えは出ない。

とりあえず読み進めてみる。

 

まずは、

「生まれてから今日までのことページ」

あ、なんか前にあったな。プリントに昔のことを書いて提出して下さいって言われた気がする。そんで、メガネが書いてた気がする。

何て書いたんだろうと思って読んでみると、電車と恐竜とご飯のおかわりのことが書いてあった。

それについてのマルの感想が絵日記みたいに綴られてた。

2人の人間らしきものが描かれてる。マルとメガネだ。

あ!私の焼いたピザの絵が!ピザだけが描かれている。ピザだけが。ピザだけ。

 

メガネが書いたマルへのメッセージのページもあった。きちんとした大人のコメントだ。流石メガネ、しっかりしている。

 

「大きくなったら」のページには将来のなりたいものが書いてあった。

りょうしになりたい。魚がすきだから。

海上じえいたいになりたい。ひこうきにのれるから。

電車のうんてんしゅになりたい。えきの名前をいえるから。

けいさつのえらいひとになりたい。うでをくんでえらそうにしたいから。

 

おい!警察のイメージ!

 

ほんで、ページの下の挿絵が、

コックさん、消防士、運転士、魚屋、先生

引っ張られてなくね?

これ、誘導されてね?

 

乗り物の絵を描き殴ったページを過ぎると、クラス全員のプロフィールカード的なページが続く。

いたいた、ここですよ、マルのページ。

のびのびとした自画像、好きな遊び、2年生の思い出。

3年生で頑張りたいことは「テストで100点をとる」

目標は高く具体的に、頑張れ!

 

もう終わりかなーってページをペラペラめくってたら、

なんだこれ?絵日記?

ページの上半分に文章が書いてあり、

ページの下半分にニコニコした人の顔が大きく描かれている。

 

 

♡ありがとうカード♡

あーさんへ

ホイコーローを買ってきて作って

くれてありがとう。とてもお

いしかったです。

おべんとう作ってくれて

ありがとう。だいすきです。

あーさんがわらってくれて

うれしいです。ありがとう。

 

 

泣かしにかかってきよるね、これ。

毎日毎日、2年も小学校に行くとさ、こんなことしてきよん、ほんま、やめー、あかんてー

あーさんは四十路で涙もろくなっとんよー

 

ほんで、弁当作っとんはメガネやてー

わし、弁当作るの苦手やて、小学校の弁当は作っとらんてー

 

ありがとうカードは1ページしかなくて、

まあまあ結構いる住人から選出された喜びを噛み締めております。

 

でもね、

私といる時間って短くね?

あんまり関わり無くね?

 

四十路女の私の出かけたい所と、小学生男のマルの出かけたい所は違う(逆もまた然り)。だから一緒に出かけることなんて滅多にない。

小学生男との遊び方なんて分からない。棒持って自転車とかダメ絶対!岩に登るんじゃない!虫を!その虫をどうする気だ!ポケットから小石!しかも多め!

ゲームは奥行きが凄くて酔うからできない。マリオってさ、平面じゃないの?紙芝居並の平面。最近のマリオさんって遠近法がエゲツない、酔う!だめだ!落ちる!と思ったら壁キック!生還!何それ!あー!旗が下の方でゴール!

 

マルと一緒にいる時間が一番長いのってメガネじゃね?

出かける時もマルメガネ2人だし。

遊ぶのもマルメガネ、ゲームするのもマルメガネ、宿題するのもマルメガネ、ご飯食べるのもマルメガネ。

 

あ、メガネ泣いてる。

私とは違う涙を流している。

 

 

まるでマルのはなし。弱った心に!凄腕の営業マンのセールストーク!

 

うちの住人に比較的小さめの人間がいるわけ。

丸いからマルって呼んでる。

んで、マルは小さいから小学校通ってんの。

もう2年目。

 

私ね、仕事終わってさ、疲れて帰ったんだわ。

あー疲れたー無理ー無理無理ーほんと無理ーってくらい疲れた日。

 

帰ったらマルが晩ご飯食べてた。

半袖で。

 

え?2月だよね?

一年で一番寒いと言われている今日、半袖のマル。

「寒くない?」って聞いたんだ。

 

したらマルが言うわけよ

 

「今日は暖かかった、もう春の装いです」

 

言い方!

百貨店の人みたいな言い方!

新しいフォーマルスーツ勧められそうな言い方!

あぶねー、買っちゃうとこだったわ。

 

 

偏食の偏見。部屋とワイシャツと私はシワシワにくたびれています。誰か!アイロンやってくれー!

 

 

うちの住人に比較的小さめの人間がいるわけ。

丸いからマルって呼んでる。

んで、マルは小さいから小学校通ってんの。

もう2年目。

 

そんでね、

うちの住人に比較的大きめの人間がいるわけ。

メガネ掛けてるからメガネって呼んでる。

んで、メガネは大きいから職場に通ってんの。

もう2年目。

 

偏食王マル。

 

偏食だからって少食じゃないからね。

食べるからね、わりかし食べるから。

私も食べる方だけどマルは私より食べるからね。

大好きな白飯、おかわり2回。

大人と同じ大きさの茶碗だ!

でもデブじゃない。細いの。すらり。なんで?

 

私も子供の頃は偏食でさ、

肉苦手、魚苦手、野菜苦手、米苦手、パン苦手、

え?何食べてたの?

食べてる記憶はある。

「食べること」が好きじゃなかった。

いつまで噛んでいいか分からない白米、

食べきれない量の給食、

美味しいと思う事は少なかった。

「食べること」に興味の無い子供の私はスラリと細くてスタイルが良かった。

 

そう、

中学校で炭酸ジュースとお菓子の美味しさに目覚めるまでは。

くそー!

なんでこんなに美味しいものが世の中にあるんだ!

気がついたら食べることが大好きで嫌いなものは無くなっていた。なんで?

友人との食事で店を決めるの楽だわー

お菓子美味いわー、炭酸くうー!

 

あ!

マルはお菓子食べないわ。

ジュースもほとんど飲まないわ。

なるほど、と。

お菓子とジュースは太る、と。

 

そんな偏食王マルがね、

急に晩ごはんリクエストしてきたの。

初めてじゃないかな?マルが晩ごはんリクエストしたの。

そんなことされた日にゃ、張り切っちゃいますよー

CMと同じクックのドゥーんの調味料と、そのパッケージの裏面に書かれた材料を買い込んできましたよ。

中華鍋サイズのフライパンに材料放り込んでやりましたよ。

 

作ってる間もマルの「腹減ったー」コール

回鍋肉、ホイコーロー、腹減ったー

そんなこんなで出来上がり。

 

はい、どーーん!

大皿に山盛りのホイコーロー

夢に見た憧れのホイコーロー

テレビで見た光景が今!目の前に!

 

無言で食べるマル。

もぐもぐもぐもぐ

 

目を閉じて一言。

 

「…うまいわー」

 

CMかよ!

至高のグルメかよ!

本当に美味しい時の感想を頂きました!

あざーっす!

こういうのがあると、料理作って良かったーって思うわ。

 

家事ってさ、同じことの繰り返し。

しかも、やって当たり前。

褒められることなんてない。

 

あれ?

私、昨日も晩ごはん作ってなかったっけ?

ああ、そうか、あれは昨日の晩ごはんで、今、作ってるのは今日の晩ごはんか。

いや、昨日の晩ごはん作ってたのはメガネだっけか?

あれ?

私、昨日も洗濯物干してなかったっけ?

ああ、そうか、あれは昨日の洗濯物で、今、干してるのは今日の洗濯物か。

いや、昨日の洗濯物干してたのはメガネだっけか?

 

終わらない無限ループ!

ブラック企業

24時間戦えますか!ビジネスマーーン!!

ビジネスマンもびっくりの24時間365日の仕事

それは子育て!

小さき者を大きく育て、一人で生きていける知恵を授ける!法施!法施!

修行させてもろてます!!

って無理ー、まじ無理ー

 

仕事の事は頭から消す事ができるけど、

小さめの人間の事は頭の中から消せない。

いつか終わるらしいけど、今がしんどいのー!

 

日々鬱々と家事してる。

けど、

マルの「うまい」があれば暫く頑張れそうだ。

 

だから!

今日から!

ご飯作ってくれた人に!

聞こえるように!

みんなで言おう!

 

「…うまいわー」

 

 

 

 

 

 

 

まるでマルのはなし。腕恐竜劇場スピノサウルスVSヴェロキラプトル

 

うちの住人に比較的小さめの人間がいるわけ。

丸いからマルって呼んでる。

んで、マルは小さいから小学校通ってんの。

もう2年目。

 

昨日マルが熱出してさ、39.8度。

小学校早退して解熱剤飲ませて寝かしつけたの。

一晩寝て起きたら平熱。

あれ?完全にインフルだと思ってたのに。

え?すごいねー、若さってすごいねー。

39歳の私なんて、気管支炎で1週間寝込んだもんよ。

 

マルの熱は下がったけど、お腹が気持ち悪いとの事で本日は小学校お休みです。

近所のかかりつけ医を受診しますよー。

昨日のうちに仕事の調整してっからさ、大船に乗った気持ちで1日を過ごせる。

 

かかりつけ医に電話してさ、指定時間に受診したの。

発熱してたって事で待合室じゃないベッドのとこに案内されて待機します。

 

念のため、いつも寝る時に抱きしめてる毛布の小さいサイズの毛布を持って行った。

毛布があると安心するみたい。

これらの毛布は、当初フワフワしてたけど経年劣化でゴワつきだしてて寝る時用の大きなサイズを「クサ毛布」、

携帯用のひざ掛けサイズを「ちっちゃい」って呼んでる。

クサ毛布の由来は「マル臭い」から、ね。

 

ご存知の通り、病院って待つよね。

すげー待つよね。ほんと下手したら1日仕事。

あれ?もう今日が終わっちゃうよーって1日仕事。

 

私は病院とかの待ち時間は平気なんだけどさ、

マルはダメだよね。苦手。これ何待ち?ってくらい、ダメ。

あ、でもね、もっとサイズが小さかった頃に比べたらマシ。ほんと成長っての?小学校の先生の成果っての?すごいよねー感謝しかないよ。

 

ベッドで待ってる間さ、暇だから話してたの。

マルとの会話だからさ、そんなに深い意味はないよね。意味のない会話って覚えてないよねー。思い出そうと頑張ってみるんだけどさ、やっぱり何にも思い出せないよね。そんな会話。

意味がない会話っていうより、思い出せない私のポンコツ具合が露呈してるよね。

 

流石に飽きたんだろね。急に服をペロッてめくってお腹出して、

「腹、食べて(笑顔)」

え?腹を食べるの?誰が?

すげー私を見つめて笑顔のマル。

食べるの私か。

えーやだよーマル昨日お風呂入ってないじゃん、しかも菌とかウイルスとか何付いてっか分かんねーじゃん。

・・・なんて言えないよ。

マル気にしいだからさ、色んな意味で悲しくなっちゃうんじゃないかと思ったら言えないよ。

でも、私も食べたくないよ。

どーしよーかなー、誰に食べさせよーかなーって悩んでさ。

 

よし!って、両腕に恐竜召喚した。

指先を全部くっつけて親指をパクパクさせるの。

右手がスピノサウルス。

左手がヴェロキラプトル

恐竜達がマルのお腹を見てんの。んで、チラッとマルの顔を見る。

んで、またお腹を見た後でお互いに顔を見合わせるの。

ピノの口がパクパク動くのをラプトルが黙って聞いてるの。

ピノの口が止まったら、今度はラプトルの口がパクパク動くの。

私はチラッとマルを見たんだけど、目がキラキラしてた。

その時のマルには私が見えてなかったと思う。

マルが見てるのは、ジュラ紀の森にいる2匹の恐竜。

その恐竜達がマルの腹を狙ってるの。

ハラハラドキドキの大スペクタクルの幕開け。

さぁ、どーやってマルの腹を食べるのか?!

マルはどのようにして恐竜達をかわすのか?!

マルと恐竜達の攻防が、今、幕を開けた!

 

私が右手と左手でマルの腹を突っついたり、

尻を突っついたり、

頬を突っついたりしてたの。

チョンチョンって。

絵面としてはシュールなんだけどチョンチョンしてた。

 

そしたらさ、腕恐竜劇場が白熱してきちゃってさ、マルの声の大きさがね、ボリュームが上がっちゃってさ。

マルが居るのはジュラ紀なんだか白亜紀なんだか知らないけど、私が居るのは平成の病院のベッドだからさ。

 

あ、これ、静かにしないとなって、隣のベッドにも人いたなって、薄いカーテンの向こう側に病で弱ってる診察待ち人いたなって。

 

ジュラ紀のマルに、

「静かにしてください」なんつって伝わるかなーって、伝わらないよね。

 

なので、

「マル、昨日お熱だったからさ、鼻で綿棒が暴れるかも」ってインフルの検査の可能性を示唆してみたわけよ。

 

マルが急に現代に戻ってきてさ、

「いやだ(不安)」

 

黙っちゃうよね、超静か。超不安。

やだよー、鼻ツンツン、嫌だよねー。

 

念のため持ってきた「ちっちゃい」を握りしめ出した。

 

そんで診察。

一通りの問診を終えたところで医師の指示によりインフル検査。

医師の手に握りしめられた長めの綿棒。

サッと表情が変わり悲しそうに泣き出すマル。

マスクの上からしっかりと両手で鼻をガード、綿棒の侵入を阻むマルの両手。

現れる新たな刺客、ベテランナース2人。

はいはいはいーって怖くないよーってすぐ終わるよーって笑顔で慣れた手つきでマルに近寄るナース達。

・・・勝てるわけないよね。

 

なんとか検査、終了。

 

インフルじゃなかった。

あれー?あの熱、何よ?

 

ひとしきり大泣きした後に、マルが涙目で、

「何にもないのになんで鼻ジーしたん?」

 

熱もないのにインフルの検査を実施して、無駄に鼻の粘膜に負担をかけた事にお怒りのご様子。

 

暴れたよねー、あの綿棒、暴れ倒したよね。

でも、マルも暴れたよね。必死。

「にゃあーあー」って、あれ?猫かな?割りかしでっかい猫かな?ってくらい鳴いたよね。もう、猫っていうか、サイズ的にはピューマとかそんくらいだったよね。

綿棒かマルかってくらいマルも負けてなかったけどね。

大人3人がかりでピューマ抱え込んだんだけど、ぎりアウトってくらい仰け反ったよねー。

白熱する綿棒との攻防にさ、診察台から落ちそうになっちゃって、見てるこっちはハラハラドキドキ大スペクタクル。手に汗握ったわー

あー疲れた。

 

そんな大スペクタクルを終えたマル。

すっげー怒ってんの。

静かに怒ってんの。

そりゃーもう、なんつーの?

全ての怒りのパワーを指先に向けて、一心不乱に「ムスムス」してんの。

 

ムスムスってのはマルの落ち着く動作で、ふわふわした毛布等に指を絡ませて、口をへの字に閉じて舌を硬口蓋に擦り付ける一連の動作のこと。

ちなみに指の動きだけを「コイコイ」って呼んでるから、厳密に言えばムスムスは硬口蓋に擦り付ける舌の動きのことかな?

 

熱がないから油断してたんだよねー

何しに来たんだ?って、これ何待ちの時間だ?って、なるよー

そりゃあ腕恐竜劇場だって純粋に楽しんじゃうよねー

 

そんなわけで、すごいムスムスを披露しながらお怒りのマル。

 

今回の受診の理由や、検査の必要性を伝えて謝り倒したら、

「明日元気になってほしいわー」ってなんとか納得してもらえた。

すげー他人事なのな、それ多分私のセリフじゃね?

 

「ちっちゃい」を中尾彬よろしく首に巻きつけて会計のための受付に颯爽とに向かわれました。

 

乗ったと思った大船は泥舟でした。